「都市伝説 口裂け女」第一回「通学路の口裂け女」第2話 「私、きれい?」――マスクの下の顔/全3話
「私……きれい?」
白いマスクの女が、もう一度そう尋ねました。三人は震えながら顔を見合わせます。逃げたい――けれど、足が地面に縫いつけられたように動きません。やがて一人が、かすれた声で答えました。
「……き、きれいです……」
すると女は、ゆっくり目を細めました。
「……そう……」
その声だけが、妙に嬉しそうでした。

次の瞬間――女の指が、白いマスクのひもへ伸びました。
「じゃあ……これは?」
すうっ……。
マスクが静かに外されます。三人は息をのみました。女の口元には、普通ではないほど大きく横へ広がった、不気味な笑みのような影が浮かんでいたのです。
「これでも……きれい?」
風が止まりました。鳥の声も、車の音もありません。ただ女の声だけが、夕暮れの道に響きます。

「う、うわあっ!」
一人が叫んだ瞬間、三人は一斉に走り出しました。ランドセルを揺らし、振り返ることもできません。ところが背後から――コツ、コツ、コツ……。
歩いているはずなのに、足音だけがどんどん近づいてきます。
「待って……」
女の声が、すぐ後ろから聞こえました。
「答えを……聞いてないわ……」
三人は泣きそうになりながら、ただ前だけを見て走りました。

ようやく大通りの明かりが見えました。三人が夢中で飛び出すと――背後の足音が、ぴたりと止まります。恐る恐る振り返りました。
誰もいません。
「……助かった……?」
そのとき、一人の肩から何かが落ちました。白いマスクです。
そして暗い通学路の奥から、小さな声がしました。
「明日も……聞いてあげる……」
三人は再び走り出しました。けれど――口裂け女との出会いは、まだ終わっていなかったのです。
