『宮沢賢治の詩と心象風景』第十回「星めぐりの歌 」
【原文】
あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の つばさ
【現代語訳文 】
夜空には、赤い瞳を燃やすさそり座。
そのかたわらには、大きな翼をいっぱいに広げた鷲座。
星々は、暗い宇宙の野原で、それぞれの姿を輝かせながら、静かにめぐっている。

【原文】
あをいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。
オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす、
【現代語訳文 】
青い瞳をきらめかせる小犬座。
そのそばでは、光の蛇が夜空に大きな輪を描いている。
オリオン座は天高く、澄んだ歌声を響かせ、
その歌に合わせるように、野や草の上へ、露と霜を静かに降らせてゆく。

【原文】
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち。
【現代語訳文 】
アンドロメダの星雲は、
夜空の深いところで、
まるで静かに息をする魚の口のような形をして、
淡い光をにじませている。

【原文】
大ぐまのあしを きたに
五つのばした ところ。
小熊のひたいの うへは
そらのめぐりの めあて。
【現代語訳文 】
大熊座の足もとから、北へ星を五つたどってゆく。
その先、小熊座のひたいの上には、夜空の中心を示す星が輝いている。
星々はその光を目印に、静かな天の野原を、いつまでもめぐり続けている。

※ 明日は宮沢賢治ちょっとお休み、「都市伝説・口裂け女」をお送りします。