113.日本おとぎ噺 「鬼の嫁さん(おにのよめさん)」
むかし、とある村に貧しい百姓の若者がいました。ある晩、山道で不思議な娘と出会います。娘は美しく、気立てもよく、若者とすぐに夫婦となりました。家は次第に豊かになり、村人も不思議がるほどでした。ところが娘は、夜な夜な
外に出かける癖があり、若者は少し気になっていました。

ある晩、若者はこっそり後をつけました。娘は森の奥深くへ入り、やがて大きな岩屋へと消えます。若者が覗くと、娘は立派な角を持つ鬼の姿となり、仲間の鬼たちと楽しげに酒盛りをしていました。驚きながらも、若者は慌てて家へ戻りました。娘は何事もなかったように帰ってきますが、若者は不安を隠せませんでした。

ある日、村に鬼が現れ、米や金を奪おうとします。村人たちは困り果て、若者も悩みます。娘は夫の様子を見て「心配するな」とだけ告げ、夜になると鬼の姿に変わって仲間の鬼たちを諭し、村を荒らさないように約束させます。翌朝から鬼たちは姿を見せなくなり、村には再び平穏が戻りました。

娘は夫に「私は鬼だが、あなたを想ってここにいた。もう仲間を守るため山に帰らねばならない」と告げます。若者は涙ながらに見送ります。娘は鬼の姿で山道を去り、やがて霧の中に消えました。若者はその後も娘との日々を忘れず、村人は彼女を「鬼の嫁さん」と語り継いだということです。

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